2012年10月31日水曜日

ニットが似合うロック・スターは誰だ その3

お馴染みニットロック・シリーズ。
今回はある意味大本命です。

「ニットが似合うロック・スターって誰?」と尋ねられたとき、多くのロック・ファンが彼の名前を挙げるのではないかと思うのです。私自身、この企画(?)を考えたとき、まっさきに思い浮かんだのがこの人でした。

ただ、彼のことを考えたり思い出したりするのはどうにも気持ちが沈みがちになるというか、やっぱりね、こんなふざけたブログで軽々しく扱うのは気が引けるというか。

とはいえ、ニットとロックの長い歴史を考えるうえで、彼の存在を抜きに語ることはできないのです(大げさ)。



元祖カーディガン男子 カート・コバーンです。発音どおりに表記するとコベインが近いのでしょうが、日本では最初からコバーンが定着しているのでこのまま行きます。
これはあまりにも有名な1993年、Nirvanaのアンプラグドのライブ。ほかのメンバーはシャツ1枚くらいの服装でリラックスした雰囲気。今や元ニルヴァーナというよりフー・ファイターズの、というほうが有名になったドラムのデイヴ・グロールはタートルネック姿ですが、いつものように元気いっぱい。そのなかでカートだけは古着屋で買ったみたいな、毛玉のできたモヘアのカーディガンを着ていて、これがないと寒くてたまらないといった青白い顔をしています。

ロック・ミュージシャンがニットのカーディガン(それも着古して毛玉がついたの)を着てステージに上がるなんてそれだけで衝撃ですが、このときの心から寒そうな彼の表情がね、胸を締め付けるのです。

というのも、翌年カートは自殺。このライブが発表されたのは彼の死後なのです。

"it's better to burn out than to fade away."という言葉を残して逝った彼が、いまは暖かな場所で安らかにいることを願いながら。