2011年4月19日火曜日

桜の季節に思うこと

しばらくブログの更新をお休みしていました。

いま、父の入院&手術のため、実家に来ています。
ここは田舎のとある小さな町。
私が到着したときは、ちょうど桜が満開でした。
そして手術が終わって、父にも満開の桜を見せてあげたいなあと思っていたのですが、
手術の夜から強風が吹いて、雨が降り出し、翌日には見事に半分くらい散ってしまいました。
桜の花びらがハラハラ舞い落ちるのを見るのは毎年なんとなく複雑な気持ちになるものですが、
今年は特にあっけなかったような気がします。

そんな訳で、編み物はまとめてやる時間がないのですが、
ヒマを見てはちょっとずつ編んでいます。
そうそう、高速バスのなかでも編みました。
車内で本を読むとたまに気分が悪くなったりするのですが、編み物は問題ないですね。
いくらでも続けられました。部屋にいるときより集中できるかな? フフフ

続けさまに靴下を2足編んですっかりその面白さにとりつかれ、編みながら
「靴下編みがこんなに面白いなら、もうほかのもの編まなくてもいいや。一生靴下で!」
と、思っていたのです。
が、なんとなく大物が編んでみたくなり、いまは違うもの編んでます。(笑)

ただ、カメラを持って来なかったので編んでる過程を記録できないのが残念。
我が家に戻って、完成したら写真をアップする予定です。(いつになることやら)



東京ではもうすっかり桜は散ってしまっていることでしょうが、
東北ではこれから咲くところも多いですよね。
被災地や避難先での入学式の様子が報道されるたびに、
どうか子どもたちが大人になって入学式のことを振り返ってみたときに、
「いい入学式だったな」と笑顔で思い出せる、そんな学校生活を送ってほしいと
切に願わずにはいられません。

子どものときの記憶って、10年も20年も経ってからますます鮮明になることがあります。
私の場合、桜の咲く季節になると入学式の翌日に着ていたベストのことを思い出します。
入学式の日に着ていたのは千鳥格子のワンピースでした。
入学式はたいてい親が張り切って写真を撮ったりするのでイヤでも覚えてますよね。
だけど私の記憶のなかにしっかりと刻み込まれているのはその翌日に着ていったベスト。
水色のベストで、赤い風船を持っているパンダが編みこまれたもの。
母の手編みでした。

当時、母はかなり熱心に編み物教室に通っていました。
そのころハマっていたのは機械編みでしたから、学校から帰ってきて「ただいまー」と玄関を開けると、いつも奥の部屋で「ジャーーーー! ジャーーーー!」っと編み機が音を立てていました。
編みたてのセーターにスチームアイロンをかけるときの匂い、
編み機にさしたオイルの匂い、
今でもよく覚えています。
かせの毛糸を玉巻き機でクルクル回して毛糸玉にするお手伝いはずいぶんやりました。
母がタッピ返しという道具を使ってゴム編みをするところは本当に魔法のようで、
飽きずにいつまでも眺めていられました。
パンチカードに穴を開ける作業もやらせてもらったなあ。

そして私の小学校の入学式が近づいたある日、母がいったのです。
「ベストを編むから好きな模様を描いてごらん」
で、私が大好きなパンダの絵を描いて、母がそれをパンチカードに写してくれて、
私のベストが完成したのでした。
懐かしいな、あのベスト。あれはどこに行っちゃったのかしら。
とっくにほどいたかな? それとも近所の知り合いの子にあげて、私が半ベソかいたんだっけ?

今振り返ってみても愛おしくて抱きしめたくなるような、大好きなベストでした。

小さいときから編み物が身近にある環境に育ったのだから、
私も母の影響を受けてそのころから編み物をやっていれば今ごろ靴下を編むのに死ぬほど苦労しなくて済んだのに、と思います。ええ、ほんともったいないことをしました。

だけど、子どものときの私のセーターはすべて母の手編みだったにもかかわらず、
というか、母がなんでも作ってくれてしまったせいで?
私は編み物に全然興味をもたない子どもでした。(アララ…)

クラスで編み物がブームになって、休み時間になると大勢の女子がかぎ針でポーチやリコーダー袋を編んでいたときも、私ときたら友だちと校庭で遊んでいたし、むしろそのとき同時進行で男子が夢中になっていた将棋の輪に加わっていたのです!

思い出すだけで冷や汗が出そうです。
自分では編もうとしないくせに、母には「こんなセーター編んで!」
なんてリクエストしてましたから。

だけど人生とは不思議なもので、そんな私がいきなりこの歳になって編み物をはじめました。

今回も毛糸を2玉だけ持参して、病院に行く前のわずかな時間に1段だけ、という感じで編んでいます。そして、母に「これはどうやるの?」と質問します。
すると母は私が子どものときの若かった母の顔になって、編み針を手に教えてくれます。
自分まで子どもに帰ったようで、ちょっとこそばゆいような気持ちになります。
「思ったより目が揃っているじゃない」と、少しだけほめてくれました。
私が「カエルの子はカエルだね」と答えると、母は笑っていました。

いまさら初心者なのもそんなに悪くないかな、と思いました。

なんだかとりとめのない長文になってしまいました。。今日はこの辺で。