2013年2月11日月曜日

ニットが似合うロック・スターは誰だ その4

忘れたころにやって来る、好評ニット&ロックシリーズ。今年最初に取り上げるアーティストは、モリッシーです! 「え? 誰?」とか言わないでくださいね、モリッシーですよ。80年代英国の最重要バンド、ザ・スミスのボーカルといえばわかる人にはわかる。それだけでいいのです。

 今でこそ、インディーズといえばれっきとした音楽のいちジャンルとしての地位を確立していますが、ザ・スミスというバンドの登場によってそれは成し遂げられたといってもいいと思います。要するに70年代に築き上げられたロックの固定概念を覆した張本人。従来のセックス&ドラッグのイメージからまったく逆方向にベクトルが振れちゃった。

ま、余計な解説は抜きにして、それでは早速、モリッシー・イン・ニットウェア、行ってみましょう。


どうです、ベーシックなVネックのセーターがとっても素敵♪ ロック・ミュージシャンというよりはどこかの文学青年みたい、と思ったあなた、そうなんです。彼はオスカー・ワイルドを愛読する文学青年だったのです。


このセーター、いいなあ。こういうトラディショナルな感じの男子セーター、好きです。イギリスゴム編みかな?

モリッシーはベジタリアンとしても知られ、また熱心な動物愛護活動家でもあります。乳製品や卵は口にするのでビーガンではないけれど、動物愛護の観点から皮ジャンはおろか革靴も身につけない、とどこかで聞いたことがあります。

それで、昨年5月、待望の来日公演を果たしたのですが、その際ユニクロの柳井社長あてに手紙を送ったことでちょっと話題になりました。手紙の内容は「ミュールシングを行っているオーストラリアの羊毛業者からのウールを取り扱わないでください」というもの。実は私、恥ずかしながらそのことがあるまで、そういう問題が存在することを知らなかったのです。おかげで勉強になりました。毛糸を買うときにも原毛の産地はどこか、ちょっと注意してみるようになったり。


 で、モリッシーのお手紙が功を奏したのか、その後ユニクロはミュールシングを行う農家からのウールの調達を段階的に廃止していくと発表しています。

ということで編み物を愛好する私たちにもあながち無縁ではないといえるモリッシー。なにはともあれ気になったらぜひその音楽を聴いてみてくださいね。私は人生のあるとーっても辛かった時期に、この曲を毎晩、もう何度も何度も繰り返し聴いていました。2分にも満たない短い曲ですが、どれほどなぐさめられ、励まされたことか。私にとって特別な、なくてはならない存在、それがモリッシーなのです。